こんにちは、岸田です。
京都・乙景での展示会が近づいてきました。
乙景での最後の展示会はちょうど一年前で、その時僕は不在でした。
活動自体も実質一年近くお休みして、自分の活動を見直していました。
考えてみれば6年前に活動を始めてから、常に自分の活動の形を探りながら制作を続けてきました。
活動の形といっても、制作については当初から何も変わらず自分の信念を持って制作し続けているのですが、
服ができた後の発表の場、人に見てもらう部分で自分に合う形を探し続けています。
ファッションは好きなんですが、今のファッションの在り方には変化すべき点があるように感じていて、
自分が思うファッションの在り方を少しずつ体現していかないといけないなと思っているのですが、
それがとても難しいです。
セレクトショップで展示会をするということは、
ある意味ファッションの大海に足を踏み入れるようなものなので、
気を抜くと目まぐるしく移り変わっていく大きな潮の流れに足を掬われそうになります。
それでも僕にとって大事なのはファッションを排除することではなく、
その中で上手く泳いでいく方法を身に付けることなのかなと考えています。
大量生産大量消費のシステムに溺れてしまわないように。
誤解してほしくないのはセレクトショップやファッション界が悪いというわけではないです。
僕の活動はゆっくりとした時間の中で一点一点その時にその空気の中で生まれているものなので、
今のファッション界のシステムからは外れている。
なのでそういう大量消費の流れに乗ってしまいすごく疲れてしまうみたいです。
実際に僕の作品が大量消費の波にさらわれているのを目にすると、とても悲しい気持ちになります。
自分の活動のコントロールをうまくし切れなかった結果なので、自分の力不足を実感しました。
活動を始めて間もない頃だったと思うのですが、
僕の活動の良き理解者である友人がアトリエに来て僕の作業を眺めていました。
その時に彼がボソッと言ったことを最近思い出しました。
"命を削って服を作ってるもんなぁ"
と彼は言ったんですが、
その時は僕にはすごい大袈裟な言葉に感じました。
楽しくて服を作ってるだけやし、命を削ってるわけではないよ。って思ってました。
けど最近になって、僕の人生の膨大な時間を使って服を作っているという実感が湧いてきました。
それにただ形として服を仕上げてるだけではなく、
一点一点に命を吹き込む気持ちで仕上げてるので、
僕の命を削り与えてると言っても変じゃないのかなと感じるようになってきました。
やっぱり自分で言うには少し大袈裟に感じるけど。
今の制作の仕方だと作れる数はせいぜい年間で20-30着程度なので、
もし運よくこれから20年、30年と活動を続けることができたとしても、あと500着程度。
僕自身も1着1着を大切にしていきたいし、もちろん着てもらえる人にも大切にしてもらえると幸せだなと思います。
なので、服を作ることだけではなく、服1着が持つ物語をしっかり伝えていくことにも責任を持たないといけないなと改めて思いました。
当初から僕の活動は、服が仕上がったところが完成ではなく、着てくれる人の手に届き、沢山着てもらった後にやっと完成近づいていくものだと考えていました。
1着1着が完成に向かっていけるように、着てくれる方々と共に歩んでいけるように努めたいと思います。
このジャーナルでは、乙景での展示会に向けて制作しているものを紹介しようと思って書き出したのですが、単純に新しい型を作りました、新しい生地を織りました、だとどうしてもそれだけを切り取って、その作品たちの奥にある時間の幅にまで目が届かない気がしたので、少し長くなってしまいました。
少し堅くて重苦しくなってしまいましたが、
ファッションの良いところを皆さんと楽しんでいければと思っています。
展示会ではゆっくりとじっくりとお話しできることを楽しみにしています。
で、今回の乙景での展示会についてです。
場所・日時
乙景 京都市下京区桝屋町 473-7
12月21日22日23日
11:00-18:00
ショップで展示会を開催させてもらう以上は、僕と乙景だからこそできることをすべきだなということで、
乙景店主の山下さんが所有していたボロッボロのデニムジャケットを裂織りにしてもう一度命を吹き込もう、という少し実験的な要素を含んだ取り組みに挑戦しました。
そのボロッボロのデニムジャケットについては乙景のインスタにて詳細があるので興味がある方は読んでみてください。
裂くのが勿体なく感じるほどパワーをもったデニムジャケット(ボッロボロだけども)だったので、そのパワーを消さないように、なるべくその服が積み重ねてきた時間や想いを汲み取った上で、新たな想いを受け継いでいけるような作品になってくれるといいなと思いながら制作を進めています。
その新たな取り組みを今回の展示会のメインというかテーマに据えて、他には乙景といったらこれでしょ!と思っている一対のジャケットたちだったり、京都の空気感から出てきたもの、逆に乙景にはない要素なのでぜひ加えて欲しいなと思ったものなど、着数にすると少ないですが濃い作品ができました。
2週間後、乙景にて皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。